前回、園内の主要なくるみを拾って計数していることをお話しました。ちょっぴり大変ではありますが、くるみの状態、収量の目安となるデータが取れてなかなかの達成感です。しかし、元はといえば計数目的でくるみ拾いを始めたわけではなかったのです。
くるみ拾いのきっかけ、それは【くるみの確保】でした。記念館のくるみがヒトの行動によりどんどん失われていくのに危機感を持ったためです。何もしないでおくと、りすたちや他の野生動物が食料に困ると予測できました。そのため、さし当たって個人でできることとして、くるみを拾って確保しておこうという考えに至りました。
(この看板を貼ったカゴにくるみを拾う。ご苦労様と声をかけてくださる方、横目で足早に通り過ぎる方、遊びがてら2、3個拾ってくれる子供、そこまでしなくても良いんじゃないのとおっしゃる方など、反応は様々。)
野生動物のために個人が公園でくるみを拾う、という行為には賛否両論あると思います。私自身もこの方法が最良とは思っていません。しかし記念館では国指定の文化財を目指していることで事情が難しくなっています。これらの問題をテーブルに広げ皆さんで整理検討することが必要と思い、3回シリーズで書かせていただくことにしました。メニューは以下の通りです。
@持ち去り問題
A芝生清掃による廃棄問題
B持ち去りとえさやりの関連性
まず、くるみが失われていく理由からお話を始めます。今回は市民や観光客による【持ち去り】についてです。くるみは店頭で結構良いお値段がしますし、近年健康効果が再評価され持ち去りに拍車がかかっています。

(台風で落ちた洋ぐるみを2つの袋いっぱいに拾う女性。くるみがないと園内のリスが困ることを説明しても、あらごめんなさい、とだけ言って満足するまで拾い続けた。)
りすたちも、一生懸命くるみを確保しています。でも、ヒトのように大きな袋に詰めて運ぶなんてことはできません(エゾリスに頬袋はありません)。スピードでは到底太刀打ちできず、ヒトによる持ち去りの破壊力は想像以上に凄まじいものです。
2013年、度重なる持ち去りを見かねた心ある市民が市に通報し、園内に持ち去り禁止の看板が掲示されました。当時伊達市には自然担当の学芸員さんが勤務しており、迅速な対応だったと聞いております。

(2013年に掲示されたもの。これとセットで持ち去りが与える影響を分かりやすくイラストで示したものが貼られた。)

(学芸員さん退職後、従前の看板が劣化したため市担当部署に刷新を願い出たところ、自前のものをあくまでも試験的に、という条件で貼らせてもらったもの。2015年の1シーズンのみ掲示。)
しかし、2016年には園内全体国指定文化財を目指すために注意書きの類は貼らない方針となりました。担当部署に掲示の継続を願い出ましたが力及ばず、それ以来、持ち去りに関する掲示は園内にありません。
注意書きが貼ってあれば、それをきっかけに持ち去り人に対して声もかけやすいのです。一方、それがない状態で同じことをすると逆切れされるのがオチです。持ち去りは個人のモラルの問題といわれればそれまでですが、だからといって放っておけば無法状態です。周りの人がやっていれば、当然自分もと考えたくなるでしょう。
数年前、小学校の「生活」の授業で、子供たちが園内の栗をいっぱい拾っていったことがあります。子供はとにかく拾うのが大好きですから気持ちは分かります。しかしこの時こそ、自然の恵みを利用する野生動物がいるということを教えて、根こそぎの持ち去りはいけないんだよ、と伝える良いチャンスではないでしょうか。こういう教育がなされていなくて、大人になってからモラルを語るのにも無理があるというものです。
それにしてもくるみの持ち去りを防ぐ何か良い方法は無いものでしょうか。皆さんはどのようにお考えですか。ご意見をお待ちしております。
☆次回はA芝生清掃によるくるみ廃棄問題です☆